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第一三章

<K.G 作>
〜舞い降りた嵐〜




―タルキ―
タルキでは建国記念式典が行われていた。この日はタルキをたたえるだけでなく、今までの功績の正当 化を図る絶好の機会でもあった。タルキ国の建国は今から45年前にさかのぼる。資本国と共産国の分断 が行われる前、領土争いにおける戦闘が各地で行われていた。タルキがあるこの地域もその戦火の中に あった。当時ブルツーナは成立しており、現在と変わらない奴隷制と貴族制をしいていた。タルキの人 を奴隷として売り買いしていたブルツーナは栄華を誇り、領土争いに勝利してきた。奴隷軍隊の編成、 慰安の為の奴隷。様々な場面で奴隷が使われ力をまざまざと見せ付けていた。実はその頃からこのタル キの奴隷と軍国ブルツーナの戦いは始まっていた。45年前タルキ建国者ルーデル=シュテインは奴隷に されていた人々を連れて現在のタルキがある地方に国を建設する準備を整え始めた。ブルツーナは勿論 これを阻止しようと軍隊を送り込む。しかし、この軍隊も奴隷兵士が大半だった為ブルツーナのもくろ みは失敗に終わる。ルーデルは何もなかったこの地に町を作り繁栄させた。そして正式にタルキとして 国を興した。ブルツーナとの因縁は切る事は出来ない。そして現在・・・。
「今日この素晴らしき日に、タルキ共和国は45周年の建国記念を迎えられた事を感謝せねばならん。こ れも今まで虐げられてきた我々が屈することなく戦い続けた努力のたまものであろう。我々はこれか らも戦い続ける!!この世界から貴族と奴隷が消えることを願って!!」
タルキ共和国上層部政府軍の大行進が始まる。と同時にルーデル=シュテインの自画像が現れ人々がそ の画にお辞儀や敬礼をする。共和国の赤に自由と平和の白い星が描かれた旗がなびく。
「演説をありがとうございました。これでこの前の基地襲撃の件の正当化がつけられそうです。」
「そうか。しかし、なぜ最前線の部隊を攻撃する必要があったのかね?」
先ほど演説を行った代表者が幹部に尋ねる。
「ああすれば我々のやり方に反論している議員の姿勢も変わってくる。よって今までやろうとしていた 事が全て上手くいくわけですよ。」
「しかし、その前にしでかしたペスカの件はどうするつもりかね?」
「あれは仕方のない事。どうしようもありませんでしたよ。まさかゲートを配備して挑んでくるとは思 いもしませんでした。」
「思いもしなかったでは済まされんのだぞ!!分かっておろうな!!」
「ええ。その為に次の手は打ってあります。グリーとその一味を一気に葬り去ってご覧にいれますよ。 まぁ楽しみにしておいてください。それからノイトラ―ルの件も少し進展しそうですよ。」
「ほぅ、どう進展するのかね?」
「じきに分かってきますよ。」
代表者と別れ幹部は部下を呼んだ。
「飛行戦艦の用意整いました。いつでも出航可能です。」
「そうか。あと一時間ほどで出撃しろ。」
幹部は部下にそう告げると部屋に戻った。
(さて、そろそろ潮時だな。準備は整いつつある。待っていろよルイス=マクレンガー!!)
―ペスカ―
僕は簡易ベッドで眠っていた。
「ルイス君・・・。」
ナナミは僕を見て泣きそうになっていた。ニッキーは
「大丈夫だよ。ルイスはじきに目が覚めるさ。」
そう言ってもナナミは僕のそばを離れようとはしない。
「ナナミ・・・。」
「とりあえずこのボウズが目を覚ますまではここにいた方がいいな。」
ゴンボースはそう言って僕の横に座った。
「しかし、何とか間に合って良かったです。ここが陥落したら一気にシュ―レに攻め入られていました よ。ゲートのお陰ですね。」
グリーは嬉しそうに言った。ゴンボースはそれを聞いて
「良いも悪いも使う人間しだいというわけですな。」
「まぁそうなるかな。タルキがこれで引き下がるとは思わないですね。」
「確かに・・・。」
ニッキーは見まわりに出た。ナナミは僕の横で起きるのを待っていた。
「ナナミ、少し休みなさい。昨日からずっと寝てないじゃないか。」
「いいの。私何も出来ないんだからせめてこれだけでも・・・。」
その時、僕がゆっくりと目を開く。ここは・・・。
「あっ!!ルイス君!!」
ナナミの声で意識がはっきりしてくる。
「おお!!起きたかボウズ!!」
「ルイス君。無事で何よりだよ。何とか撃退には成功したよ。」
皆が口々に言ってくる。そこへニッキーも帰って来た。
「ルイス!!心配かけやがって!!」
かなり嬉しそうな表情で僕に言ってきた。僕は起きあがり、ベッドから降りる。
「今の時間は?」
僕が尋ねるとグリーが、
「ルイス君が倒れてから二日経つな。」
「早くタルキへ向かってください・・・。でないとまたここが狙われる・・・。」
僕はタルキの次の手を予測していた。
「しかし・・・こんな状況でタルキに向かったら死にに行くようなもんじゃないか。」
「今ここが狙われたらそれこそ全てが終わってしまう!!今は僕達が標的になってるんだ。」
「・・・しかし・・・。」
グリーの表情をゴンボースが一括した。
「今はボウズを信じて動くしかないな。全員を召集だ。ニッキー、行って来い!」
「ったく、人遣いあらいんだから!!」
ニッキーは全員を召集に向かった。
―タルキ軍本部―
「大佐!只今指令部から通達があり、飛行戦艦の発進準備を整えよとの事です!」
「ほぅ、ようやく出番か。さて、貴様もそろそろ出番だぞ。」
「分かっていますよ。大佐。」
「任務はルイス=マクレンガーの抹殺だそうです。」
「君なら良く知っているはずだ。本人かどうかの確認は任せたぞ。」
「はい。お任せ下さい。」
飛行戦艦3隻が発進しようとしていた。ペスカまで速くて5分である。
―ペスカ―
「ここはあまりにも危険であるからこれよりタルキに進路をとる。行きたくない者はここに残ってかま わん。オレはこのボウズ・・・いや、ルイス=マクレンガーについていく事にした。」
大騒ぎした。ここに残ろうと言い出した奴は少なくない。だが、ブリュワーズが
「私はグリーさんについて行きます。ペスカをこんな目にあわした奴等を許してはおけない!!」
その言葉に少しずつ感化されしだいに勢いがついて
「オレも行くぞ!!タルキに!!」
と言い出す方向へと変わってきた。それでも残るやつはいたが。
「では、行こう。ここに残る奴はペスカの復興を頼む。」
トラック6台でついにタルキへと向かう。そしてそのトラックに迫る飛行戦艦。荒野のど真ん中で戦い が始まろうとしていた。この戦いの勝者はどっちになるのか?
「ここからが本当の戦いですよ。嵐は舞い降りた!!」
飛行戦艦が基地を飛びたって3分ほどした頃だった。
「大佐!!トラック6台を補足!!」
「拡大投影しろ。」
トラックが1台ずつ映し出された。
「この中にいるか?」
「いえ、居ません。」
確認が始まる。1人1人確認されていく。そして3台目にさしかかった時だった。
「居ましたよ。3台目です。」
「でかしたぞ!!全艦に告ぐ、トラックを攻撃し・・・。」
いきなり、大佐が倒れた。本人確認した奴が大佐の首を捻じ曲げて殺したのである。
「只今よりこの部隊の全権はこのグイーツ=シャルマンが引き継ぐ!およがせろ。目的が知りたい。」
なんとあのグイーツが現れた。トラックに気付かれないようにかなり遠い距離から後を追った。
「そろそろタルキに着きます。」
タルキは目前に迫っている!!


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