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第三章

<K.G 作>
〜貴族の名の下に〜




僕とニッキ−はツルコロを抜け、ラインスパークへやって来た。ここは貴族が集まる都市・・・。
今は日が南に傾こうとしていた。僕は真っ先にナナミを探した。
ニッキ−は僕の行動を変に思ったが僕はそんな事を気にせずにナナミを探していた。
「何探してんだよ。行くぜ。」
ニッキ−は僕にそう言うとスタスタと歩き出した。僕は仕方なく付いて行くしかなかった。
「待ってよ。僕は人探ししてるんだよ。」
僕がそう言うとニッキ−の足が止まった。
「誰探してんだ?」
「ナナミって人。あっ、あのゲートを作った人知ってる?」
僕はナナミが言った事を思いだし、ニッキ−に尋ねる。
「ああ、一応知ってるぜ。確かグリー=ゴールニックだろ?」
「その人の娘だよ、僕が会った人。」
「何!?会ったってか!!あのナナミ=ゴールニックにか!?」
ニッキーがいきなり興奮し出した。僕は不思議だった。
「まさか有名人?」
僕の問いにニッキ−は、
「何にも知らねー奴だな。ブルツーナではかなり有名な子だぜ。カワイイって噂だがどうだ?」
ニッキーがこんなに明るくなったのは久々だった。
「覚えてないよ。必死だったしね。」
「お前ナナミちゃんを助けたのか!?」
ちゃん付けかよ・・・。僕は少しニッキ−に呆れてしまった。
「ああ、かなり危険だったしね。」
その瞬間、ニッキ−は僕の肩を掴んで、
「ルイス。有名人になれるかもな。」
なんて事まで言ってきた。こんなニッキ−は初めて見た。
「あのね・・・。」
その時である。どこかの家のテレビから声が聞こえて来た。
「この声は!!」
僕は声のする方へ走る。ニッキ−は僕の跡に付いて来ずにナナミの事で余韻に浸っていた。
「我々はタルキ共和国のブリグリッツァ−である。我々はこれより3時間後、ブルツーナに対し、
 先制攻撃を開始する。場所はルーレットで決める。」
僕はその時に家の窓からテレビを見る事に成功した。運良く窓が開いていたからだ。
ブリグリッツァ−の一人がルーレットを回す。僕は緊張の面持ちせ画面を見続けた。
玉を入れ止まるのを待った。僕はここにならないと思った。案の定ここにはならず他の国の都市になる。
「仕方ないな。これじゃ駄目だし、隣にしよう。」
そうテレビに向かって男が・・・。僕はその男が僕を見ているように感じた。
そして隣に置く。隣もここではなかったが、
「では、頑張ってくれたまえルイス=マクレンガー君。」
その瞬間奴らの狙いがここだと気付いた!!
「狙いはここだ!!早く逃げろーーー!!!」
僕はとっさに叫んでいた。だが動く者も信用する者もいなかった。
「誰も信用してくれない・・・。何とかしなきゃ。」
「おーい!!ルイス!!」
ニッキ−が走ってきた。僕は、ニッキ−に何とかしてもらおうと思った。
「ニッキ−、ここが狙われる。早く逃げるように言ってくれ!!」
「狙われる?誰にだよ?」
ニッキ−は状況を把握していなかった。僕は後で話すと言ってニッキーに頼む。
「ごめん。早く逃げるように言ってくれ!!」
「わ・分かった!!皆様!!私はブルツーナ国の兵士です。」
ニッキ−は語り始めた。僕はその間に武器を集める。
「どうやらここが攻撃されるようです。直ちにこの街を捨てて逃げてください!!」
ニッキ−の訴えも理解してもらえないようだ。
「どうする・・・。このままじゃやばい!!」
僕はかなり焦った。その時!!
「この者達の言うことは正しい。早く逃げるんだ!!」
誰かが僕らの話を信じてくれたのだ。
「本当か!?さっきの奴は違う国を指してたぞ!!」
街な人から疑問が飛ぶが・・・。
「何もなければ避難訓練と思ってくれてもいい。とにかく今はここを離れるんだ!!」
「まぁあんたがそこまで言うのなら分かったよ。」
街の人がぞろぞろと街を出て行く。しかし、全員が出る前に攻撃が始まった!!
「ニッキ−!!援護してくれ!!僕が前に出る!!」
「了解!!気を付けろ!!」
僕は住民が歩いているのを確認すると攻撃がある方へバズーカを撃ち込む!!
「くっ!!やったのか・・・?」
一応叩いたつもりだった。かなりの爆発があったからだ。
「久しぶりだな・・・。ルイス。」
僕はその声に驚きを隠せなかった。煙の中から声がしたからだけではない。
「生きていたのか・・・。グイーツ。」
「よく覚えててくれたなルイス=マクレンガー。」
「お前は3年前に死んだと聞いていたが・・・。」
「フフフ。このグイーツ=シャルマン、そんな簡単にくたばるものか。」
グイーツ=シャルマン。かつてルイスと共にタルキの反乱軍として活動していた男である。
特に兵器や戦車に詳しかったグイーツは弱点を突き、タルキ軍の猛攻を止めていた。
しかし、グイーツは3年前、タルキとの最大の戦いとなったマロウスの攻防戦に敗れた。
当時マロウスは反乱軍最大の拠点であった。そこを落とされ壊滅寸前だった。
そんな時、グイーツがおとりとなって仲間を逃がした。その中にルイスの姿も・・・。
後にグイーツは捕まり、処刑されたと聞いた。
だがこれで終わりではなかった。なんとグイーツはタルキのスパイだったのではという噂が沸いてきたのだ。
それについて沢山の論争・争いが起こり、反乱軍は自然消滅した。
が、一部の子供の間で復活の声が高まり、よって今ニッキ−やルイスが中心となっている反乱軍があるのだ。
「一つ知りたい。お前はスパイだったのか?」
僕はグイーツにそれだけは聞きたかった。
「知りたいか?そんな昔の事より今だ、ルイス。」
「教えてくれ。僕は知りたい。グイーツが何処まで信じれる存在なのかを。」
「いいだろう。俺はどっちの味方でもない。タルキや反乱など俺には関係ない。」
「どういう事だ?」
僕はグリーツの言った意味が分からなかった。
「俺は、世界制服など下らんと言っているのだ。」
「世界制服は確かにくだらない。世界平和はどうなんだ?」
「フン。もっと下らんな。そんなもの出来るわけがない。どうやって成し遂げる?」
「分からない・・・。でも成し遂げてやる!!争う事のない世界を作ってみせる!!」
「ならまずここにいる貴族を消すんだな。」
グイーツは僕にそう言ってきた。
「何!?消す必要があるというのか。」
「分からんのかルイス。こいつらが売奴を買う奴らなんだぞ。」
「知ってるさ。だからって命まで奪う必要があるのか!?」
「やはり分かっていないな。だから世界平和など無理なのだよ。」
「貴族は確かに最悪な奴もいるかもしれない。でも人間はそんなあくどい事ばかりしてるわけじゃない!!」
「ほんとに昔からお人好しだな。まぁいい。考えろ。いずれ分かる。」
グイーツは去って行く。僕は最後に聞いた。
「お前は一体何者だ?」
その問いにグイーツは
「貴族の名の下に貴族を討つ者・・・。とでも言っておこう。」
そう言い残してグイーツは去って行った。
「ルイス!!知ってるのかあいつ?」
ニッキ−が後ろからやってきた。僕は一言、
「遠い昔の仲間だよあいつは・・・。」
「仲間?」
ニッキ−は首をかしげた。僕らは住民(貴族)を街に戻した。
そしてさっき僕の言う事を支持してくれた人の所へお礼を言いに行く。
「さっきは有り難うございました。」
「いや、こちらこそ娘を助けて頂いて。」
「娘・・・?」
僕らは首をかしげる。その子が現れるまでは・・・。
「ルイス君。お久しぶりね。」
その娘とはナナミだった!!ニッキ−は僕よりも早くナナミのもとへ行くと
「ナナミちゃん。サイン下さい!!」
「この子誰?」
「僕の友人のニッキ−っていうんだ。」
「へ〜。よろしくっ!!」
ニッキ−はナナミの挨拶にメロメロ!!僕は呆れ果ててしまった。
「立ち話もなんですから家に行きましょう。」
ナナミの父グリー=ゴールニックが僕達を家に案内してくれた。


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