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第七章

<K.G 作>
〜白日の下の真実〜




ブルツーナ国首都シューレ。タルキに近いこの首都は上空に見えないシールドが張られており、ゲート が周囲をとり囲んでいる。僕達は町外れにジープを置いて改めてシューレに入った。
「ちょっとすみません。どちらの方ですか?」
ここへ入るのには証明する物が必要のようだ。グリーは証明書のような物を見せる。
「どうぞお入り下さい。ようこそシューレへ。」
僕達は難なく入る事ができた。
「何てデカい!!しかもすっげ〜きれ〜!!」
ニッキーがおおはしゃぎする中僕とグリーはブルツーナ国の会議場へ向かう。
「しかし、ここは豊かですね。」
「ここには他国からの来訪者も多い。出来るだけ豊かに見せたいのだろう。ここの人々はのん気なもの さ。」
「どこも同じですよ。自分勝手が多いのは。」
僕達はシューレの町並みをのんびり観光していた。市場や工場、それに農場までありとあらゆる設備が なされている。映画館やカジノまである。僕はそんなものに興味などわかない。いや、そういったもの を知らないと言った方がいいのだろう。生まれてきて一度も心の底から幸せを感じた事などない。そん な境遇に僕は悔しさと苛立ちを感じていた。
「では、そろそろ行こうか。目的の場所へ。」
「はい。案内をお願いします。」
さっきまではしゃいでいたニッキーも表情を一変させた。僕達は人ごみに邪魔されながら会議場へと歩 を進めた。
ー会議場ー
「議長、先ほどグリー氏がシューレに到着しまっすぐこっちに向かっているとの事ですが・・・。」
「そうか・・・。わざわざ出向いてくれるとはな。グラッツェ議員を呼んでくれ。」
「かしこまりました。すぐお呼びします。」
ワイバーンは椅子から立ち上がり町並みを眺めた。
「今日でここともお別れだな。」
ワイバーンはグリーを迎えるため部屋を出た。
「ここが会議場だ。」
僕達は到着した。頑丈な扉がそびえ立つまるで砦のような建物である。
「すみません。」
グリーは扉近くのいた守衛を呼んだ。
「あっ、グリーさんですね。話は伺っております。今扉を開けますから。」
守衛は何かのスイッチを押す。すると金属のこすれる音をたてながら扉がゆっくりと開いた。
「どうぞ。議長が待っておられます。」
僕達は中に入る事ができた。扉から建物までに少し広めの庭らしきものがある。僕達はそれを見ている 余裕などない。すぐに建物の前の扉に到着する。扉が開き目の前にワイバーンが姿を現した。
「やぁ、わざわざここまで来なくても電話か何かでかまわんのに。で、何の用かね?」
「その前に一つ。なぜ私が来ると分かってわざわざここで待っていたのです?」
「君がこの町に来たからには私に用があると思ってな。」
「あんた、ブルツーナの人間じゃないね。」
ワイバーンはその声の主の方を見た。子供だった。二人の子供がグリーの横に立っていたのだ。
「ん?グリー君、君の子かね?」
そこへグラッツェがやって来た。そしてルイスをみるやいなや
「ワ・ワイバーン議長、ちょっとこちらへ・・・。」
「待ちな。ルイスを見て血相変えるってことは知ってるんだな。ルイスの事を。」
ニッキーがそう切り出した。
「い・いや・・・。私の子供によく似ていてね。」
「で、ルイスとかいったかな。どうして私がここの人間でないと思うのかね?」
「あんたの顔に見覚えがある。確かタルキの行政省事務次官ワイバーン=ドレイクだろ。」
「何を言う!!私はここの議長だ。それに同姓同名かもしれんじゃないか。子供の憶測など私は信用せ んぞ!!」
「証拠が欲しいんだね。なら、タルキにいる僕の仲間に見てもらうといいですよ。僕の仲間はあなたの 顔をはっきりと覚えています。それにあなた方ブリグリッツァーに対抗する組織の人間ですからね。 あ、ついでに僕の事を調べてもらって結構ですよ。問い合わせればすぐ出ますよ。」
「私はここの人間です。何を馬鹿な。」
ワイバーンは必死に弁明する。しかし、グラッツェは動揺を隠せない。
「ワイバーン様もう限界です。お逃げ下さい。」
「おい!!君まで何を!!」
「認めるんですね?」
僕はグラッツェの動揺を逃さない。グラッツェは走って近くにある甲冑から槍を抜き取って構えた。
「あえて抵抗するんですね?」
「こんな子供に何が出来るというのかね?」
「ワイバーン様彼はあの反乱軍のリーダーです!!ルイス=マクレンガー!!聞いたことあるはずです よ!!」
「反乱のリーダーだと!!馬鹿な!!あいつは確か死んだはずじゃ・・・。」
「死んだ?どっから得た情報?」
僕は気になって聞いてみた。ワイバーンは僕の問いに無視して一人で叫んだ。
「あの男騙しやがったな!!」
僕はその時グイーツだと断定した。
「とにかくあんた達はこの国から出てもらう。」
グリーがそう言うとグラッツェはののしった。
「馬鹿な奴らだ!!お前達が消えれば真実は闇の中。外に漏れる事はねぇ!!」
「果たしてそうかな?」
ニッキーはポケットからマイクを取り出す。
「すでに外には漏れてるよ。」
その瞬間僕達が呼んだマスコミがなだれ込んでくる。
「今のは本当なんですか?!」
マスコミが二人を取り囲んだ。二人は黙ってしまう。
「本当にあなたはタルキの人間なんですか?!」
「どきたまえ!!」
二人は会議場を出て、逃げるように車へと走る。僕はそれを止める為に二人を追ったがすでに二人は車 に乗り込んで発進しようとしていた。
「ちっ、逃げられる!!」
だが、エンジンがかかったと思ったその車は次の瞬間に爆音と共に消えていた。
「えっ・・・。まじか!?」
何が起こったか全く分からなかった。ニッキーとグリーもやって来た。
「これはブリグリッツァーの仕業だな。」
ニッキーはそう言ったが僕はその線は少ないように感じていた。なぜならそこにたった一つしか車がな かったのである。奴等がここまで大胆な工作をここでできるとは思えないのである。
「とにかくグリーさん。」
「ああ、分かっている。」
グリーは新システム開発の中止を宣言すべく会議場にマスコミを集めた。
「みなさん。私が間違っていました。私は、この新システムの開発を止めることに決定しました。賛成 して頂きました方々には申し訳なく思っております。」
こうして戦争の激化を少しは予防出来た。僕は少しだが希望を持てた。
「それで私はこれより貧民市ペスカへ行くつもりです。」
グリーは平和を願って貧民市と言われているペスカへ行く事を決めた。会見が終わってグリーは僕に
「いいかなこれで?」
「ええ。でも最後のあの発言は?」
「ああ、私も何か助けたくてね。で、君にも来てもらいたいんだが・・・?」
「ルイスはまだやんなきゃなんない事があるんだ!!そんなにのんびりしてる時間は・・・。」
「それはわかっている。でも見て欲しいんだ。この国の現実をもっと良く!!」
僕はグリーの目に光るものを感じた。
「分かりました。行きましょう。」
こうして僕達はペスカへ行くことを決めた。この先に何が待つのだろうか?僕達はシューレを出発する ことにした。


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