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第八章

<K.G 作>
〜ブルツーナの墓場〜




僕達はペスカへとジープを走らせる。砂漠地帯が続く道を・・・。
「しかし、ルイスいいのかよ。時間ないんじゃないのか?」
「ないことはないんだけどね。でもすでに手は打ってある。」
「すでに打ってあるのかい?」
グリーがそう僕に尋ねてきた。
「ええ。彼等はきっとブルツーナにとって一番の弱みである都市ペスカを狙うはずです。」
「ペスカを!?どうしてそんな事がわかるのかね?」
「向こうはここまで予測していなかったんですよ。重要な人材を二人も失うなんて所まではね。」
「ってことはあの爆発はブルツーナがやった事なのか!?」
「ああ。あの爆発はきっと前々から二人の素顔を知っていた人物の犯行だよ。」
ニッキーはハンドルを切り損ねた。ジープが砂山から飛び上がる。
「おわっ!!」
ジープはそのまま砂に突っ込んで動けなくなってしまった。
「ニッキー!!」
僕はとっさに怒鳴っていた。ニッキーは申し訳なさそうに
「ごめん手伝って。」
三人で砂をかくが全然だめだ。どうしようか少し考えた。
「仕方ない。持てる荷物持って歩くか。ここからならそう遠くはない。」
グリーの提案に賛成するしかなかった。三人は荷物を持って歩き出す。
「で、さっきの話の続きをしてくれないか?」
少し歩いてからグリーに言われて僕は話し始める。
「向こうは予測もしていなかった事態に動揺と怒りが込みあげているはず。だから確実に攻撃を成功さ せたい。そうなってくると一番狙いやすい所を狙うはずですよ。」
「なるほど。だからペスカか。」
「それにナナミとの約束もありましたしね。」
「ナナミは君の事をとても気にしているみたいだが、君はどうなのかね?」
グリーがいきなり話題をナナミへもっていった。
「僕には分からないんです。そんな事を言われてもなんて返していいのか・・・。」
僕の言葉をグリーは真剣に聞いていた。
「そうか・・・。君は愛を受けていなかったんだな。心の底から感じる愛を・・・。」
「はい・・・。僕自身そんなものを必要とする場面が今までなかったものですから・・・。」
僕は最近よく思う。愛が存在している意味は何なのかという事を・・・。
「まぁ、そんな事は今はどうでもいい。ペスカへ向かおう。」
僕達は数時間ほど歩いただろうか。夕暮れになりかけていた時にその町は見えた。
「あそこだ。しかし、思ったより遠かったな。」
「そうなんですか?オレはこれぐらいを予想してましたけど。」
ニッキーのさも分かっていたかのような発言。
「ニッキーまたウソかよ。」
「ウソじゃねぇ!!今回は本当だよ。」
その時だった!!空に無数の機影。
「まさかあれって!!」
「くそっ!!思ったより早かったか!!」
僕達はペスカへと急ぐ!!しかし、着いた時にはすでに攻撃の後だった・・・。
「これは旧式の爆撃機だな。ペスカの人々も反撃したみたいだ。」
見える範囲の町は炎と死体だけになっていた。大半が男だが中には逃げ送れたと見られる女性や子供の 姿も・・・。
「オレがジープをあんな事にしてなかったら!!」
ニッキーは自分を責める。
「ニッキー・・・。」
僕はそれ以上声をかけてやれなかった。
「こんな事を言うのはいけないのかもしれないが過ぎた事よりもこれからだ。君達にはまだ守らねばな らないものが沢山あるじゃないか。これからの為にも今は耐えるしかない。」
「グリーさんの言う通りだよニッキー・・・。残念だけどな。」
僕達はせめてと思い一人一人の墓をつくった。ここペスカには約五万人が住んでいる。だが今はこのよ うなことになったので生存者は不明だ。
「これで最後だ。」
死者全員の墓をつくり終わった時、それを見てかぞろぞろと人が姿を現した。
「あんた達何者だ?見たところさっきの連中じゃなさそうだが。」
「僕はルイス=マクレンガーという者です。このペスカを守りに来ました。」
「ここを守りにだって?お前さんみたいな子供がかい?」
「はい。こっちにいるのが親友のニッキー。そしてこの人が・・・。」
「テレビで見たよ。あんたグリー=ゴールニックだろ。」
誰かの声がそう告げた。
「本当か?あんたがあのグリーか!?」
「はい、私がグリー=ゴールニックですが・・・。」
「俺達の町に助けを差し伸べてくれるグリーさんか!!ようこそ!!ペスカへ!!」
熱烈な歓迎を受けた僕達は町の中心へと案内された。
「ここがペスカの市場だ。みんな外の町から仕入れて来た物だから質はいいぜ。」
「案内はうれしいんですがペスカの代表者と話をさせてもらえませんか?」
「ああ、そうだったな。申し遅れた、俺がペスカの代表者ゴンボース=ルッフェレンだ。」
僕達は握手をかわし、ゴンボースの家へと向かう。
「ゴンボースさん、さっきの攻撃は?」
「ああ。あれには驚かされたよ。まさかあんなにいっぱいくるとはな・・・。」
「では前々から攻撃を?」
「ああ、この地はタルキにとっては有利な場所さ。なんせブルツーナの墓場と言われてる場所なんだか らな。」
「ブルツーナの墓場・・・。」
「ここは昔っからこの国にとって厄介な奴がみんな来る所だからな。誰も訪れたりはしない。向こうか ら強制的に来る奴はいっぱいいるけどな。」
「では食料供給は?あんなに沢山の品物がありましたけど・・・。」
「その件に関しては私が話そう。」
グリーが急に割り込んだ。
「これは我々議会が決めた事だ。食料供給その他の貿易は何処の町でも規制などはしかない事になって いる。さすがにそこまでは馬鹿じゃないさ議会も。」
「この案はグリーさんが提案したんです。おかげで助かりました。」
「グリーさん、前からこの町をどうにかしようとしてたんですか?」
僕は少しグリーを馬鹿にしていたことを恥ずかしく思った。
「いや、私は食料まで規制の必要はないと思っただけでこの町がどうとかはその時は思ってなかったん だ。でもルイス君、君が私を変えてくれたんだよ。私は君によって救われたんだ。あのままにしてお いたら大変だった。本当に君には感謝している。」
「こんな所でお礼を言われても・・・。」
僕は少し照れていた。人に誉められて照れたのは初めてだった。
「君は一体?」
ゴンボーズは僕に素性を尋ねる。ニッキーが横から
「ルイスはタルキ反乱軍のリーダーで今もオレや大勢の仲間が信頼できるボスだぜ。」
「そんなこと言われたのは初めてだよ。ったく調子いい奴だな。」
「君があの反乱軍のリーダーなのか!?ならあいつに会ってやってくれ!!」
「あいつって誰ですか?」
「べシュリナって知ってるかい?」
僕はその名前を聞いた瞬間興奮していた!!
「べシュリナがいるのか!?案内してくれ!!」
ゴンボースは僕達をべシュリナの所へと案内する。そこは病院らしき場所だった。その建物の二階に彼 女はいるらしい。
「オレ達はここで待っとく。お前だけで行ってこいよ。なぁグリーさん。」
「そうだな。ルイス君行ってくるといい。私達は待っているよ。」
「ごめん。じゃぁ行ってくる。」
僕は一人でそのドアの前まで行く。そしてドアを開けて中に入った。しかし、そこにべシュリナの姿は ない。ベッドはもぬけの空になっていた。僕は近くを通りかかった人に聞いてみた。
「すみません。ここにいた人はどこへ?」
するとその人は黙ったままだった。
「あの・・・。何かあったんですか?」
するとその人の口が開いた。
「そこの人は三日前に亡くなったよ。全身傷だらけでここに来てその上病気に沢山かかっていてな。い ままで生きていたのが不思議なぐらいだよ。君、彼女の知り合いかい?気の毒になぁ・・・。」
僕は泣き出していた。自分の身近な人間がつい最近まで生き続けていた仲間が・・・死ぬ・・・。
「くっそーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
僕は壁に何度も拳を打ち続けた。苦しみと戦い続けた彼女の思いははかりしれないものがあった。
「僕は・・・!!僕は・・・!!」
涙が止まらない・・・。止まりはしない・・・。
「ルイス!!どうしたんだよ!?」
建物から出てきた僕にニッキーが声をかける。
「僕は・・・僕は・・・。」
誰も何も言えなかった。その周りだけ沈黙があった。
「そのべシュリナはどんな人だったんだ?」
ニッキーは僕には酷である事を承知の上で僕に尋ねる。
「べシュリナは僕の姉みたいな存在だった。いつも僕の面倒を見てくれて色んな事を教えてくれた。そ うだよ、あの戦争が起きるまでは平和だった!!」
「それってオレがルイスと逢う前に起こったタルキとブルツーナの・・・。」
「ああ。それでべシュリナは僕と一緒に逃げた。タルキが内部で危険な連中の一掃するっていったから ・・・。でも途中ではぐれて僕はグイーツと一緒に行動を共にする事になって、それで・・・。」
「あの攻防戦ってわけか。」
僕はうなずいた。ゴンボースが一言
「あんたそんな幼いのに良く耐えたな。あんたはえらいよ本当にな。」
僕は涙を拭き、気合を入れた。
「もう終わりました。生きましょう。彼女達の為に!!」
「そうだな。ルイス頑張っていこうぜ!!」
ニッキーが僕の背中を叩いてそう言ってくれた。
「ありがとうニッキー。」
「な〜に、これぐらいできね〜とな。」
ここでやっとグリーが口を開いた。
「では早速あの軍隊をどうにかしないとな。」
その時大きな爆発が起こった!!僕は歩兵軍だと予想する。
「あいつらが乗り込んできた!!ニッキー大至急武器を!!」
「分かってらい!!」
ニッキーはどこからか爆弾とライフルを持ってきた。
「今は戦うしかありません。グリーさん避難して下さい!!」
「分かった。しかし、君達だけで大丈夫なのかね!?」
「ペスカの連中も戦いますぜ!!」
ゴンボースが笛を鳴らす。すると彼の周りに大勢の人間が集まってくる。
「すでに先方は衝突しています。このままでは時間の問題です!!」
「よし、すぐにN−22の準備だ。残りは先方の援護に回れ!!」
「僕達も行くぞ!!」
僕達は先方の援護の為ペスカの東門まで走る。すでに銃撃戦が展開されていた。
「いいかニッキー、僕の合図で爆弾をあの屋根の上から投下してくれ。危険だと思ったら君の判断に任 せた!!」
「了解!!まかせといて。」
僕は激戦のど真中に降り立つと兵士を蹴り倒し次にくる兵士を撃つ。すぐに銃を構えて飛んでくる方へ 向かって銃を撃つ。合図でニッキーが敵が撃っている場所に爆弾を投下。兵士は一気に五人は消えた。 その調子でなんとか東門から先には侵入されずにすんでいた。
「来たぞ!!N−22だ!!」
僕達は援護して爆弾部隊を敵の真ん中へ送る。
「作戦開始!!
僕達は後退する。すると遠くででかい爆発音がした。どうやら敵の中心を叩いたらしく部隊が二つに分 裂したようだ。僕達門付近にいる人はそのまま前方と戦う!!爆弾を放った人は投下地点に降り立ち後 部隊を叩く!!この戦法によって敵わ壊滅まで追い込んだ。
「よし、なんとかなるぞ!!」
その時上空にさっきの爆撃機が!!
「やばい!!これが狙いか!!」
僕達は後退するがほかの人達は爆撃機の攻撃により次々と消えて行く・・・。
「なんてこった!!すぐに引き返せ!!」
ゴンボースの声もむなしく状況は一変する。だが、歩兵部隊の数を少なくしていたのが幸いしなんとか 侵入は免れた。敵は引き返し、こっちも態勢を立て直すために中心へと戻った。
「しかし、このままじゃやられてしまう。次が最後やもしれん。」
「ゴンボースさん・・・。」
「グリーさん。こうなったらゲートをここへ持ってきましょう。」
「しかし、今から手配しても五時間もかかってしまう。間に合わないんじゃ・・・。」
僕はそれ以外に方法がないと思っていた。
「お願いします。それ以外に方法がないんですよ。それまで僕達で守ります。」
「グリーさん俺からも頼みます。この町の為に・・・。」
グリーは少し考えた。そして
「分かった。やろう!!それしか手がないならやるしかない!!」
「ありがとうございます!!」
「では私はゲートを持ってくるからそれまでは頼むよ。」
「お願いします。」
グリーはトラックで貴族市へと戻った。僕達のペスカ攻防はまだ続きそうである。


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